〝音斎処〟

I Want A Music Using Rear Laser Audio


Twitterで「レーザーターンテーブル」を検索 3

IMG_1781


誰かも言ってた気がするけど、或いはネットで読んだのかもしれないけど、音を後世に確実に伝える最も有効な手段・フォーマットはアナログ・レコードなんだと、今更ながら思います。なんせ構造はシンプルだし、聴こうと思えば大掛かりな機械や電気などなくても、針か爪楊枝かがあれば何が記録されてるかが判ります。こんなメディア・フォーマットなんて他にないんですね。ハイレゾがどんなに進化したってレコード盤を超えられない。断片をいくら繋いでみても連続にはならない。連続しているように聴こえたり、見えたりするだけなのです。

映像の記録と音の記録の根本的な違いは、映像の記録はその生い立ちからして連続を断片として切り取り、その断片を再び連続しているように見せる技術、であるのに対し、音の記録は連続を連続として残すという考え方による処です。なので映像の方がデジタルに向いている、というかデジタル処理との親和性が高かったわけで、それはパーソナル・コンピュータの世界では映像(処理)の方が早くから、速く進化してきたことを考えてみればよく判ると思います。

単純にいえば、CDは可聴周波数帯のみを記録する、つまり音データの質と量を大幅に低減する方向で停滞したのに対し、映像は解像度を上げる、つまりデータの量と質を大幅に増やす方向で進展してきています。音は、やっと最近になってハイレゾとかが話題になってきたに過ぎないですし、しかもハイレゾになると一気にデータ量が増大してしまい、CD一枚に収まらず、DVDでもLP一枚分がやっとかな‥‥といった根本的な問題は未解決のままなのです。

私は単純に、今後も生き残っていき、50年後、100年後も存在し続ける音の記録メディアはレコード盤だと信じているので、その再生装置としてレーザーターンテーブル(以下LT)を購入したわけです。購入し、使ってみて思ったのは、こんな素晴らしい製品と、それを通じて得られる体験とを独り占めしては申し訳ないということ‥‥やはり音楽の本質から言って、この体験をできる限り多くの人と共有できないか、ということでした。
そんな想いから始めたのが〝音斎処〟という活動なんですが、毎回少しづつでも共感していただける方が増えているのは嬉しいことなのです。

こうしたことをするのに、何故普通のターンテーブルでは駄目なのか‥‥LTでないといけないのか判りますか?

LTと同価格帯の針式ターンテーブルは数多く存在します。LTは世間では高価だといわれますが、オーディオの世界、ターンテーブルの範囲に限定しても、ハイエンドではありません。まだまだ桁違いの価格、つまり一千万円台の製品は幾つもあります。なのでオーディオ製品としてのLTは決して価格的にハイエンドでも、高価なものでもありません。蛇足を加えれば、高価格=高性能でもありませんから、LTの性能が低いということでもありません。

最近また巷間で「コスパ(コストパーフォーマンス)」なる言葉をよくききます。この言葉を使ってLTを表現すれば「コスパ最高のチョーヤベー製品」ということになります。ただここで言う「コスパ」は、本来の意味であって、現在一般的に使われるような意味ではありません。

「コスパ」つまり「コストパフォーマンス」とは本来「費用対効果」を意味するものであり、最近の「安い・お手ごろ・お買い得」の俗称としてのそれではないのです。じゃ本来の意味の「コスパ」は、今どう表現するんだろう、っていう疑問は残りますが‥‥

LTを購入する時に必要な金額と、LTでレコード盤を再生した時に得られる満足感とを比べれば、コストパフォーマンスはとんでもなく高いのです。これはもう体験してみないと判らないことなのですが‥‥。現代流コスパ主義で考えたら、黒色のレコード盤しか再生できないLTなど、絶対に購入しないこと、欲しいとも思わないことです。それよりもコスパ抜群のスピーカーを購入されることをお勧めします。音源などに金をかけず、YouTubeなどでタダで入手することしかしないリスナーに、とても評判の良いスピーカーがあるんです。今までとは全く異なる理論で作られたというこのスピーカーは、YouTubeとはとても相性が合うみたいで、今まで聴こえなかった音がきこえるらしい。もっとも元々録音はされているのに再生し切れていない音は当然聴こえないはずなのですが‥‥。一度LTと繋げて試聴したことがありますが、聴こえなくても良い音まで聴こえてきてしまい驚きました。それほど高性能ということなのでしょうが、やはりオーディオ製品というものには明らかに相性があるのだと良い勉強になりました。

銀行に壱銭の預金もないのに、利息を受け取ることはできないのは、至極当たり前のことでしょう。ところがオーディオの世界に入り込むと、この当たり前のことが当たり前ではなくなってしまいます。とっても不思議な世界なのです。このスピーカーを使えば、銀行預金がないのに利息だけは受け取れるんだよ、と言わんばかりなのは、どうにも貧乏性の私には理解できない処でもあるのです。私の専らの、そして最大の関心事は、レコード盤に刻まれた音を忠実に再生してくれる装置なのです。それは預金に利息など付かなくて良いけれど、元金だけは必ず守ってくれる金融機関のようなものです。

〝音斎処〟で色々なジャンルの様々な時代のレコード盤を再生していてだんだん判ってきたのは、結局はレコード盤の製作技術というか録音技術の優劣が肝心だということです。良い録音盤は良い音を再生してくれます。それは恐らくどんなプレーヤーで再生したとしても、良い音になるはずです。でもLTで再生するとそれがもっと凄いのも事実なのです。

とは言ってもやはり入り口あっての出口なのだと思うのです。元々再生されない音は、どんなに優れた出口であっても、出てこないはずです。もしも入ってもいない人が出口から現れたとしたら、そこには何らかのトリックがあるはずで、もはや忠実度を欠いていると私には思えるのです。そんなわけで私はこの入り口に徹底的にこだわってみようと思っているわけなのです。

ここでやっと問いに戻れます。「LTでなければならない理由」は、50年後、100年後も残り続けるメディア・フォーマットとしてのレコード盤を、その時にそれがつくられた時とほぼ同じに再現できる可能性があるのはLTしかない、と信じているからなのです。

RapidWeaver Icon

Made in RapidWeaver