〝音斎処〟

I Want A Music Using Rear Laser Audio


Twitterで「レーザーターンテーブル」を検索 2

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Twitterでの「高くて買えない」「安くなったら買うよ」なんて言葉(つぶやき)を真に受けてはいけない。実際に買う人というのは、そんなことを言う前に実行してしまうのだ。(やっちゃえニッサン‥‥みたいに)
全く買う気のない人たちが買えない理由をあれこれ並べて騒いでいるのだ。買える人はお金持ち、などとある種揶揄して溜飲を下げているのかもしれない。こうした製品を買う側の気持ちなど、恐らく一生掛かっても判らないだろうな〜と思ったりするのだ。しかも、そうした人たちには基本的にこのような製品の持つ本質的な可能性などに思いも至らないのだと思ってしまう。
レーザーターンテーブル(以下LT)を「高い」という人たちの基準は、恐らく、自分個人の持ち物としての判断しかないように思える。想像力が乏しいのだ。他方「高いかもしれないが価値ある製品だ」と考える人たち、私もその一人かもしれないが、そうした人の基準は、個人としての楽しみや所有する満足を超えた処に、その価値を見いだしている。

Twitterのつぶやきの中に『レーザーターンテーブルによる盤起こしがセールスポイントってどうなんだろう』というのがあったが、こうした発想しか浮かばない鑑賞能力こそ「どうなんだろう」と思うのだ。このつぶやき者にはLTだからこそ持つ固有の可能性など思いも及ばないようで、単なるレコード再生装置の一つのバリエーションとしてしか判断できないようなのだ。

LTを高く評価している角松敏生さんや浜田省吾さん等は、アーティストの中でも特別な感性を持った存在ではないかと思える。あまり知られていないが、LTを所有しているアーティスト(ミュージシャン)は以前からかなりの数存在する。一人で複数台所有しているミュージシャンも多いと聞く。にもかかわらずLTで盤起こしして新作の一環として発表したアーティストは居なかったのだ‥‥何故なんだろう?そんな問いを立ててみると面白い。

アーティストが、自身の過去の発表作品をマスターテープ以外からリイシューするという事例は、かなり画期的だと思われるかもしれない‥‥が、そのこと自体は特に画期的なことではない。よく知られるように、ビートルズのデビュー・シングル「Love Me Do」の9月4日テイクと呼ばれるものは、現在普通に聴ける音源では盤起こしされたものである。先のつぶやき者がこの事例を知った上での発言だったのかは知る由もないが、ビートルズのこの例はビートルズの発表作品の歴史的価値を考えれば非常に重要なものであり、この盤起こしの恩恵を良しとしないビートルズ・ファンなど恐らく居ないだろう。そしてそれがセールスポイントでもある。

こうした歴史的意義がある例を挙げるまでもなく、現在市販されているオールディーズの安価なCD全集などの多くは、この盤起こしが、明示されているか否かは別として、かなり一般的なのだ。

閑話休題

角松敏生さんの例がかなり画期的な点は、LTの使用を公表している点であり、同時に盤起こしも公表していることだろう。

まぁデジタル音源しか聴いてこなくって、パソコン操作すらままならない人が多いと聞く、超デジタルネイティブ世代には理解できないだろうが、磁気テープの物理的限界を迎えつつあるマスターテープの劣化というのはかなり深刻なものらしい。

この何年かの間にビートルズの全作品、LP、シングル、モノラル、ステレオ、が次々とデジタルリマスターとして発表され、ボックスセットなどで発売されて話題となった。つい最近では、映像、PV、テレビ出演、にも同様な処理がされ発表・発売されている。
「これって何故?」「なんで今頃?」と思われた方もいるだろう。「ビートルズ・ビジネスの一環だよ」「ビートルズは儲かるからな〜」「音楽業界最後の頼りはビートルズ」‥‥なんて声きこえてきそうですね。勿論そうした面もあることは事実なんでしょうけれど‥‥

でもね「もう限界なんだな〜 アナログ・テープが」って私は思ったものです。先にも言った通りもうアナログのマスターテープが限界なんです、物理的に。だから今のうちに、せめてビートルズ位は全作品デジタルリマスター化しておかないと、後世に伝えられなくなっちゃうんです(つまり、この先儲けられなくなっちゃう)‥‥そんな危機感が滲み出てると思いませんか?私には感じられて結構痛々しくって、ついつい買っちゃいます(笑)

でもね、ビートルズやストーンズやツェッペリンや‥‥といった大物は良いですよ、金掛けても元取れますからね。でも一発屋はどうするの?一発屋だって凄い曲残してるのいっぱいいますよね。でもそこまで手が回らないし、第一商売にならないんです。
勘の良い人はもう何が言いたいかが判ったと思いますが、レーザーターンテーブルの持つ能力・可能性というのは、こうした処で発揮されるんですよね。だから「レーザーターンテーブルによる盤起こしがセールスポイントって」こうした処なんですよ。(といっても、角松さんの作品がそうだとは言いませんが。)

オリジナル盤を損なわず(非接触)オリジナル盤が作られた時の空気感までも再生できるレコードプレーヤーは、残念なことに世界中探しても、いくらお金を積んでも、LTしかないんです。恐らく角松さんはそうした可能性にいち早く気づかれたんだと思います。そして実践された、数少ない行動派ミュージシャンなのだと思います。

「レコードなんて聴ければ良いんだよ、そんな高いの使って聴かなくっても」という考え方の後世のリスナーに対してさえアーティストは妥協しないんだ、って心から思える。やはり凄い人だなっと尊敬してしまいます。単なる宣伝のためにだけ言ってるんじゃないんですよね。レーザーターンテーブルが売りになるなんて全く思ってないと思いますよ、きっと‥‥でなくって、アーティストとしての衝動がLTによって揺り動かされたんだと思います。

私などはアーティストでもミュージシャンでもない、唯のオッサンですけど、明知鉄道の気動車でのレコードコンサートや〝音斎処〟を始めるきっかけは、LTの持つこうした可能性への気づきにあるので、少し、ほんの少しだけど判る気がします。

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