〝音斎処〟

I Want A Music Using Rear Laser Audio


Twitterで「レーザーターンテーブル」を検索 4

写真ScreenSnapz001

動く汽車の中でレコードをかけたことってありますか? 或いは、かかってるのを聴いたことはありますか?

おおよそレコードの再生には不向きな場所である汽車(気動車、ディーゼルカー)の中でレコード・コンサートをしたことがあります。それも一度ならず‥‥・

電車というのは、ご存知の通り、パンタグラフから電気の供給を受けてレールの上を走る車両のことです。それに対し、電気以外の動力源でレールの上を走るものを汽車と呼び、古くは蒸気機関車、現在でも気動車(ディーゼルカー)は汽車と呼ばれています。もっとも、この定義では鉄道(車両)に詳しい方からお叱りをうけるかもしれません。単純に、モーターで走るのが電車、エンジンで走るのが汽車‥‥じゃ蒸気は??

自動車同様レール上を走る気動車にしても、ディーゼルと聞いて真っ先に思い浮かぶのはあの独特の振動(音)ではないだろうか。発進時や加速時、或いは停車時に発するあのガクガクとした感じ、特有の振動とそれに伴う音‥‥とてもスムーズとは言いがたいあの感覚というのは、おおよそオーディオの世界とは相入れないものだといえる。そんな車両の中でレコード・コンサートをしてみたいと、無性に考えたことがありました。

高級オーディオ・メーカーにリンという会社があります。この会社のレコード・プレーヤー(針式)に、レーザーターンテーブル(以下LT)が発売されたばかりの頃の価格とほぼ同じ価格の製品があります。例えばこのリンのプレーヤーを私が所有しているとして、友人が「還暦祝いに、今度明知鉄道の車両を借り切って、これでレコード・コンサートしよまい」と誘ってきたとしたら、おいそれと「おお やろまい やろまい」とは応えないだろうと思います。だって「きっと針が飛んで巧くかからん」と思うからである。じゃ明知鉄道じゃなくって、空き家スペースだったらどうだろう‥‥。そんな妄想をしたことがある。きっと空き家スペースなら「運んでって、セッティングするのにめっちゃ大変だから ダメ」となるに違いない。
でも実際はリンではなくLTだから、割りと気軽に二つ返事をしている。
私がLT購入を決めた理由の一つに、気軽に持ち出せる(だろう/はずだ)というのがある。ここにもLTが一般のハイエンド製品と一線を画す特徴があります。

どうにも私にとってオーディオ好き(オーディオマニア)には悪いイメージがつきまとっている。
曰く;パイプを銜え、ガウンを着て、ブランデーグラスを片手に、オーディオルームのロッキングチェアで、ジャズを聴く、偏屈な老人‥‥的な。全くの偏見であるが‥‥的外れとも言い難い微妙感

オーディオマニアから「じゃぁ こんど家のオーディオルームに聴きにくれば」というお誘いは受けたことがあっても、「じゃ 今度 自慢のプレーヤー持って お宅にうかがってもいい?」なんてことは、まずもって聞いたことがないのである。何故なんだろうと色々理由を妄想したことがあるけど、明確な解は得られないまま今に至ってます。ただひとつ思い当たるのは「自信がない」のだろうと‥‥つまり、自分のオーディオルーム以外の場所で、いつも自身が聴いている音を、良いと思っている音を再現できる自信がない、ということではないだろうか。まぁそれ以前の問題として、実際持ち出すとなると大変な労力が必要なのは確かですし。

でもLTで聴くと、結構良い音を場所を選ばずに再生することができるのです。私自身は、音楽というかレコードというか、は皆で色々な所で聴くものだという思い込みが強いので、その思い込みを叶えてくれる機器でないとどうにもいただけない。その点LTはぴったりなのである。

まあスピーカーは超重量級のものもあるので、おいそれと持ち出せないのは判るけど、プレーヤーなんてすぐに持ち出せそうに思える。が、ハイエンドというのは一般人の考えが及ばないのが常、ハイエンド・オーディオ製品とは重厚な家具であったり、繊細な芸術品であったりするのだ。もはや音を楽しむためだけの道具ではなく、地位や富を示すための調度品なのである。だからおいそれと持ち出したりはしないのだ。

マイクロソフト創業者の一人であるビル・ゲイツが『自宅の7000万円かけたオーディオ・システムより良い音だ』と驚いた日本製のスピーカーがあるときく。残念なことに、その後ビル・ゲイツが自宅のシステムを全てそのスピーカーに入れ替えた、という話はとんときいたことがない。事程左様にハイエンドとはステイタスであり機能や性能ではなく、また、オーディオ・マニアとは「究極」といわれる高価なオーディオ製品を取っ換え引っ換え購入し、楽しむ人たちのことを言うのだ、と思って良いのだろう。
その点からいえば私は、オーディオ・マニアでもなければ、レコード・コレクターでもない、タダのレコード好きのオッサンでしかないのである。とにかくレコード溝に刻まれた音を、限りなく忠実に再生してくれる装置があればそれで良い。それだけなのである。

LTであれば、気軽に持ち出せて、色々な場所で、色々なアンプやスピーカーと組み合わせ、色々なレコードを楽しむことができる。LTを購入して以来この二年間で、恐らくそれまでの60年間をはるかに凌駕する量と質のレコードを聴いていると思う。最近では、収入とてないので、お金は出ていくばかりであるが、レコード盤はというとレコード盤の方から勝手に私の所に集まってくるようになった。面白くも有り難いことである。

RapidWeaver Icon

Made in RapidWeaver